続・宅飲みは割り勘にするのが吉



ブログの機能で便利なのは、どの投稿が人気なのか、その投稿の表示回数によって分かるようになっているところです。

さらに、検索エンジンを使った場合、どのように検索されて投稿に辿り着いたかも分かるようになっています。


それらの機能の良いところは、読んでくれた人と発信する側の双方向的なコミュニケーションが可能になるという点です。

発信する側としては、何か目的があって投稿に目を通してくれたのかということが分かりますし、それに対して、さらなる投稿を通じてリアクションすることができます。


そして現在、断トツで人気のある投稿が、「鳥飼誠一の正義論」「宅飲みは割り勘にするのが吉」の2つです。

「鳥飼誠一の正義論」の方は、言うまでもなく踊る大捜査線効果です。当たり前なのですが、すごいですね。
機会があれば、さらに詳しく考察したいと思います。


そして、「宅飲みは割り勘にするのが吉」の方はと言うと、「割り勘の非効率性 経済学」という風に検索されているようです。

どうやら、大学のテストか何かで割り勘の非効率性を経済学的議論によって解かなければならないようです。


これこそ双方向的なコミュニケーションのチャンスです。

グーグル先生に尋ねた結果僕の投稿に辿り着き、割り勘の非効率性について知りたいのに、割り勘にした方が良いなどと書かれていて混乱してしまうかもしれません。


そこで今回は、「割り勘が非効率であることを説明せよ」という問題に対しての経済学における回答を記しておきたいと思います。


まず最初に断っておくべきことは、僕の割り勘が吉という主張は、”宅飲み”という特殊な状況から述べられているということです。

そのため、心理学の要素を加味した行動経済学の分析を行うと、”宅飲み”においては割り勘すべし、となったということです。


では本題に入ります。


この問題を解く為には、ミクロ経済学のゲーム理論を用いなければなりません。

割り勘という状況はまさに”共有地の悲劇(The Tragedy of the Commons)”であると考えられます。

つまり、全員が自己の利益を追及した結果、全員にとって不利益な結果を生んでしまう、というケースであるということです。

割り勘ということで一人一人は料金が抑えられると思って、各々が過剰に注文してしまい、その結果、合計料金が意外にも高くなってしまった、ということはないでしょうか。

まさにこの状況が非効率であるということです。


また、割り勘の相手が”親しい友人”か”この先会うこともない人”かでどのような違いがあるでしょうか?


”親しい友人”はゲーム理論で言う”繰り返しゲーム”、”この先会うこともない人”は”1回限りのゲーム”ということです。

これらの違いは”囚人のジレンマ(Prisoner's Dilemma)”によって説明されます(以下図)。


”1回限りのゲーム”、つまり”この先会うこともない人”ならば、お互いにとって取るべき戦略は”裏切り”、ここでは好きな物を注文しまくるということになります。

それが、”親しい友人”の場合は”繰り返しゲーム”ということになりますから、左図のような利得表も配点が変更され、お互いにとって”裏切り”は最適な戦略ではなくります。

ここではお互いセーブして注文するというのが良い戦略ということになります。


以上が経済学に則った、割り勘が非効率であることの回答です。


簡単にまとめると、

①割り勘という状況は”共有地の悲劇”であり、各人が自己の利益を追及した結果、全員にとって不利益な結果を生んでしまう。つまり、割り勘ということで一人一人は料金が抑えられると思って、各々が過剰に注文してしまい、その結果、合計料金が高くなってしまう。

②”親しい友人”と”この先会うこともない人”の違いは、”囚人のジレンマ”構造における、”繰り返しゲーム”と”1回限りのゲーム”の違いであり、前者の場合、協調すること(注文を抑える)が最適戦略になり、後者の場合、裏切り(注文する)が最適戦略になる。


前回の「宅飲みは割り勘にするのが吉」との違いは分かって頂けたでしょうか?


”宅飲み”という特殊な条件の下においても、確かに買い出し時に安上がりを見越して高い物を買ってしまったり、量を買いすぎたりするでしょう。

しかし、僕が主張したのは、元来”宅飲み”は安上がりなので、そのような結果(非効率)を伴った場合、傾斜的な支払いをすべきではないということです。

心理学的な要素を加えると、非効率に対してさらに不平等感という非効率を加えてしまうことになりかねない、ということです。

つまり、”元来安上がりである”というところがポイントということです。


今回のように、たまには(勝手に)リアクションを伴った投稿ができればと思います。

割り勘の非効率性は定期的に検索されているようなので、今回の投稿が未だ見ぬ誰かの役に立つこと、それから日常生活に役立つ経済学に興味を持ってくれることを願います。

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